笑顔引き出す介護ロボット

対話を目的とした介護ロボットの導入

宮城県名取市にある特養老人ホームで、介護ロボットの一つである「テレノイド」が導入され効果を上げています。
このテレノイドは対話型の介護ロボットという位置づけで、見た目は子どもの人形という感じで、職員が遠隔操作をすることによって声を発します。
マイクとスピーカーが内蔵されていて、利用者と遠隔操作を行うスタッフが会話できるのですが、利用者としてはテレノイドと話している感覚で会話ができるのです。

テレノイドはあまりリアルに作られてはおらず、特定の人物像を固定しないように工夫されています。
それによって利用者は、自分の孫など、話したいと思う子供の姿をイメージして会話できるというメリットが生まれています。

この介護ロボットを作ったのは大阪大教授で、アンドロイド研究の第一人者です。
これを実験的に特養老人ホームで使って見たところ、その効果の高さにびっくりした所長が即決で導入を決めたという経緯があります。

介護ロボットの導入によって会話が弾むようになった

特養老人ホームにいる高齢者は、重度の障害を抱えているということもあって、精神的にも大きな負担を抱えているケースが少なくありません。
そのため、多くの人とコミュニケーションを取って、会話による楽しみ、ストレス発散をするというのが難しいこともあります。

そこで特養老人ホームでこのテレノイドを導入したところ、まるで大事な孫と話をするかのように、楽しげに会話をする様子が見られるようになりました。
スタッフとの会話以上に自分のことを話したり、たくさんの質問をしたりと、話をする時間がかなり伸び、笑顔が増えてきたのです。
テレノイドは赤ちゃんのような柔らかい感触となっていますので、抱き上げるとまるで孫を抱いているような感覚になれるというのも、笑顔を引き出す一つの要因と言えるでしょう。

また、利用者がテレノイドと接する様子や話す内容を聞いて、スタッフが今まで知らなかった利用者の一面を知ることができるというメリットも生まれています。
それによって、ケアをするのがより楽になり、深い理解のもとお世話ができるようになっているのです。

介護スタッフからも高評価を受けている

このテレノイドはあくまで人間の介護スタッフの代わりになるものではないものの、介護の質を高めてくれるとスタッフからも高い評価を受けています。
テレノイドと楽しく会話する様子を見て、介護の楽しさを感じることができるというのも、高い評価を受ける理由です。
人材育成にもつながるということで、テレノイドの導入には大きなメリットがあり、さらに台数を増やして様々なところで使っていきたいと考えられています。