養護施設退所者ら守る法改正へ

消費者契約法の改正が決まった

政府は消費者契約法の改正を決めました。
この消費者契約法とは、一般的な個人の商取引において、どのような条件で契約がなされるか、無効もしくは有効とされる契約の種類などが定められています。

この改正案では主に、社会経験が乏しい人を対象として、契約をした後でも取り消せるということを強調しています。

消費者契約法改正はまず、若者たちをメインとしていて、民法改正に伴って成人の年齢が20歳から18歳に引き下げられることが関係しています。
若いうちでも、成人となると、自分の権限で契約を結べるようになります。
しかし、まだ社会経験が少ないとどうしてもトラブルが多くなってしまうことが考えられるため、そのような若者たちを保護するという目的があるのです。

もう一つの注目ポイントは、若者だけでなく養護施設退所者らも対象としているということです。
長期間養護施設にいた場合は、どうしても社会経験が少ないですし、知的障害を持っていて成人であっても十分な判断能力がないということもあります。
そのような人たちが不利な条件で一方的な契約を結んでしまったとしても、後から取り消すことができるという点も改正案に盛り込まれているのです。

社会経験が少ない人を食い物にするケースも多かった

社会経験が少ない若者、養護施設退所者などの場合は、どうしても悪質な業者などからターゲットにされがちです。
ローン商品の契約を結ぶ時も、十分な説明を受けないまま不安をあおられるような話ばかりをされ、不利な契約をしてしまったというケースもあります。
また、デート商法のように、異性を使って気持ちをもてあそび、それを何らかの高額商品やサービスの購入のために用いられてしまうというトラブルも発生しています。

詐欺などの悪質な業者の手口はとても巧妙ですが、社会経験を積んでいる人であれば、ある程度怪しいと判断できることが多いものです。
しかし、社会経験の少ない若者や、知的障害者などはそこまで考えることができず、不利な契約を結んでしまうケースが後を絶ちません。
そこで、たとえ契約をすでに結んでしまった後でも、内容によってその契約を取り消せるようにしたのが、この消費者契約法の改正案です。

被害を防ぐ効果に期待

この改正案が施行されることによって、すでに不利な契約を結んでしまった人を助けることができますし、悪質な業者としてもリスクを冒したくないという心理が働くでしょう。
養護施設退所者などが、社会に出て安心して日常生活を送っていけるように法律が守ってくれることが期待されています。
この改正案によって、こうした契約トラブルが大幅に減るということが多くの人の願いでもあるのです。