就労継続支援A型事業所の7割が生産活動収支だけでは最低賃金払えず

障害者の仕事をサポートする就労継続支援A型事業所

障害者が社会的に独り立ちできるように、様々な取り組みがなされていますが、その一つが就労継続支援A型事業所の設置です。
この就労継続支援A型事業所とは、障害者に仕事の場を提供して、就労の機会を広げるという目的をもって運営されています。

様々な仕事を一般から受注して、その作業を障害者にしてもらい通常の賃金を払うというもので、全国各地に設置されています。
この就労継続支援A型事業所には、行政機関からの助成金があり、最低賃金を支払うために必要な人件費コストなどについて助成金が支払われます。
民間企業でも障害者雇用が進んでいますが、現実的にはまだまだ障害者の就労チャンスは低いため、こうした公的支援を受ける事業所の存在はとても重要なものと言えるでしょう。

実際の運営はとても厳しい状況が続いている

このように、就労継続支援A型事業所は障害者の就労を支援するというところに目的がありますが、仕事の受注がないと当然のことながら十分な仕事を提供することができません。
すると、障害者を雇用しても十分な仕事がなく、法で定められている最低賃金を支払えないことになってしまいます。

実際に政府が行った調査では、就労継続支援A型事業所として活動している事業所の実に7割程度が、自前の生産活動収支だけでは運営できていないという結果になっています。
そのため、最低賃金を支払うために、公的な助成金に頼らざるを得ず、独立した生産活動収支という意味では厳しい状況に置かれているのです。

もちろん、公的助成金を使うことは悪いことではないですし、就労継続支援A型事業所の活動ではこれは織り込み済みのことです。
しかし、十分な仕事がなく障害者が事業所に来てもフルに働けるだけの業務量がないという状況は、これからの展望に影を落とすものとなります。

指定基準を改正して事業の健全化を図る

十分な生産活動を得られないために、就業時間を短くして、その分を助成金に頼るという事業所が多かったために、厚労省は指定基準を改正しました。
基本的に生産活動収支だけで運営ができるようにするという形に基準を改めたのです。

もちろん、事業所のいわゆる営業努力、経営改善を目的としたものですが、実際には収支を健全化させるのは難しく、生産活動をアップさせるというのは厳しい状況です。
そのため、最低賃金分を確保するために、雇用していた障害者の解雇、ひどい場合には事業所そのものの閉鎖といった事態も相次いでしまいました。
これでは本末転倒ですので、就労継続支援A型事業所が上手に経済活動を行っていき、障害者の雇用を確保できるように十分な策を取ることが早急に求められています。