児童福祉司

児童

不幸な子供が存在しないように

福祉の仕事として次に紹介するのは「児童福祉司」の仕事です。
こちらは名前の通り、児童を対象にして行われる福祉を扱う仕事となります。
それでは、まずはこの仕事がどのような理念を持って行われることになるのかについて見てみましょう。

児童福祉司の仕事についての定義は、同名の法律である「児童福祉司法」によって定められています。
この第一条には「すべて国民は児童が心身ともに健やかに生まれかつ育成されるように努めなければならない」と規定されています。
そして同時に「すべて児童は等しくその生活を保障され、愛護されなければならない」とも記載されているのです。
児童福祉司は、この2つを究極的に追求し「不幸な子供」がこの日本に存在しないように活動することになります。

すべて国民の義務として規定されているものの、悲しいかな、身近な人間によって幸せな生活を阻害されている児童は多くいます。
その理由は様々ですが、親による虐待や、親の離婚による生活の困窮、その他にも様々な理由によって子供が苦しむことが少なくありません。
そして、当該の子供達にとっては、自分が不幸であることが分からないのです。
なんといっても、その子供にとっては自分の親であり、唯一の家族であることも少なくないため、それが分からないまま引き返せない状況になってしまっていることも少なくありません。

児童福祉司は、こういった子供達についても様々な方法でもって救護し、愛護することを目的としています。
しかし、やはりできることの範囲は限られてしまっているのは事実です。

親が保護を拒む場合についてはまだしも、子供が保護を拒む場合については手を出せないケースも少なくないためです。
その結果、手遅れになってしまうことも少なくありません。
以下は、児童虐待の通告人数の年間変化でありこれをみると、いかにここ数年において児童虐待の数が増えているのかが分かります。
>>児童虐待2万8923人通告=最悪更新

虐待の被害にあうのは、幼い子供だけではありません。
児童福祉司の保護対象として定められているのは18歳未満の子供であり、ある程度成長した子供も保護の対象です。
主に児童相談所に勤務し、こういった子供たちの補助や援助、さらには相談の受付などを行っています。

児童福祉司の仕事は、その多くが「相談」という業務に集約されています。
主に4つの分野に関する相談を受けつけ、親とともに解決策を模索していくことになります。

まず1つ目は「養護」についての相談です。
これは、親側の理由によって子供を育てる事ができないという相談です。
経済的な理由や、精神的な理由、肉体的な理由などその理由は様々ですが、ともかく親だけではもはや子供を養護出来ないという場合に行う相談となります。

次に「育成」の相談です。
これは子育ての方法について不安がある、という場合に受ける相談となります。
子育てというのは、答えがあるわけではありませんし、よしんばあったとしてその答えは子供が子供の内にはわかりません。
ほんとうに自分の子育てが正しいのか、間違っているのではないか、という不安はどんな親でも感じていることで、この相談を受けるのも仕事の一つです。

3つ目は「非行」の相談です。
子供がある程度大きくなってくると、犯罪や非行に走るということも少なくありません。
『積木くずし』のようにまでなることは多くはないとしても、そこまでエスカレートする前に何とかしたい、という親と相談をします。

そして4つ目は「障害」です。
発達や発育に関して障害がある場合、子育ての難易度は大きく上がることになります。
この場合、子供自身が不幸になるというだけではなく、親の方も不幸になってしまう可能性が少なくありません。
両者が最悪の結末を迎えないように考えるのも、児童福祉司の仕事の一つです。

児童福祉司になるには

それでは、児童福祉司になるにはどのような条件が必要になるのでしょうか?
児童福祉司自体に資格があるのではなく、この仕事は社会福祉士の資格を持っている人が行うことになっています。
あるいは、医師の免許を持っている場合でも児童福祉司としての仕事を行う事ができます。
また、これらの資格を持っていない場合には、実務経験や研修の履修などによって代わりとすることもできるため、そちらを利用するのも良いでしょう。

もちろん、資格を取得しただけで仕事が始められるわけではありません。
その後には自治体などで行われている採用試験を受けて合格する必要があります。
自治体によっては増えている児童虐待に対応するために、採用枠を拡大していることもあります。