福祉の進路

ノート・ペン

高校生の皆さんへ

これをお読みの方のなかに、まだ高校生や中学生で、将来の進路について決めかねている人もいらっしゃるのではないでしょうか。
中学や高校はいわゆる普通科の学校が多いものの、大学にはいると一つの「専門」を決めることになります。
この専門が将来の仕事にも繋がることになるため、大学の選択というのは非常に重要な選択ということになるでしょう。
ただ、まだまだ自分の将来の仕事について、明確なビジョンを持てていないという人も多いのではないでしょうか。

ここでは、特に福祉の仕事について、自分の将来を見つめるためにどのようなことをするべきなのかについて紹介します。
まずは、社会福祉というのが、どのようなものであるのかをイメージするところから始めてみましょう。
まだまだうら若き皆さんにとっては「福祉」が必要になる人のことがイメージできないかもしれません。
もちろん人によってはお祖父様やお祖母様が福祉が必要な状態になっていて、その大変さを知っている人もいるでしょう。

この仕事について想像するためには、「福祉が必要な人」というのがどんな人なのかを考えることが重要です。
例えば皆さんの場合、やりたいと思ったことはだいたい自分ですることができます。
トイレに行きたくなったらトイレに行き、お風呂に入りたくなったらお風呂に入り、眠たくなったら寝る、これらは当然の行為のように行えます。
しかし、様々な理由によって、これらが一人では出来ない人が存在している、ということを考えることが福祉のスタート地点となります。

その理由は人によって様々です。
障害を持っているため生まれつき肉体、ないしは精神が健常者とは違っているために出来ない場合、年齢によって運動能力が低下してしまってできない場合、経済的に困窮しているために出来ない場合、親に虐待されているためにできない場合パターンは星の数ほど考えられるでしょう。
これらの人をサポートし、一人ではできないことを一緒にしよう、というのが「福祉」の仕事の原点です。

福祉の仕事というと「辛い仕事である」ということや「責任感がいる仕事である」ということがまず思い浮かぶために、その道を選びたくないと考える人も多いでしょう。
福祉の種類によってはトイレのサポートをする必要があるために、「汚い仕事である」と感じてしまう人がいるというのも残念ながら事実です。
しかし、それでも「自分の存在によって人を支えることができる」ということが、これほどまでに実感出来る仕事はありません。

最近では、福祉士による虐待という、考えられない事件も取り沙汰されるようになってきました。
この背景には、福祉士の仕事の精神的な厳しさや、アンマッチな環境のなかで仕事をし続けることによる精神的ダメージなどがあります。
そうならないためにも、まずはしっかりと福祉の仕事を見つめ、自分にとってその進路が正しいのかどうかか見つめ治す事が必要です。
今後需要が増える仕事ではありますが、同時に「誰がなっても良い仕事」ではないのだ、と意識しておきましょう。

活躍の場は

それでは、福祉の仕事の現場としてはどのような場所があるのかについていくつか紹介します。
まずは「高齢者分野の施設」についてです。
具体的には特別養護老人ホームやケアハウス、デイサービスなどがこれに該当します。
今後福祉の需要が増加すると見られているのは主にこの高齢者分野の福祉についてです。

次に「児童分野の施設」についてです。
保育所なども、児童福祉の一つだと言って良いでしょう。
これ以外にも、児童養護施設や児童自立支援施設などが該当します。

さらに「生活困窮者に対する施設」についてです。
自分で仕事をして収入を得て生活する、というのが資本主義社会においては基本となっていますが、どうしても何かしらの理由によってこの営みに参加できない人がいます。

日本は憲法においてすべて国民の最低限文化的な生活を保証しており、生活困窮者に対する福祉も盛んに行われています。
昨今では不正受給の問題などによって生活保護自体に対する風当たりが強くなっていますが、悪いのは不正に受給することであって、正当な理由で受給している人にとっては必要なライフネットなのです。
生活困窮者に対する施設としては、救護施設や更生施設、授産施設などがあります。